2012年4月アーカイブ

弁護士が高い倫理と品性を求められるのは、弁護士が基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とするからです。金銭が望みなら商人になればいい。権力が望みなら官僚になればいい。弁護士は金銭や権力に目を奪われ、心を動かされた瞬間に、弁護士たる資格を失うのだと思います。

医師や公認会計士等の多くの専門職の中で「職務の内外を問わず品位の保持」を求められているのは弁護士に限られています。職務の内外を問わずとされている弁護士以外の職務では裁判官と国会議員がありますが、裁判官は「職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行」が罷免事由とされ、国会議員は「職務の内外を問わず。その信用を失うような行為があってはならない」とされています。しかし、非行や行為が問題とされ品位は問題とされていません。それは裁判官や国会議員がいても法の支配は貫徹されない。法の支配を貫徹させ、法を創造するのは、弁護士であって、弁護士は最も崇高な任務を負っているからです。弁護士が、高い品位の保持を求められるのは、弁護士が基本的人権の擁護と社会正義の実現という崇高な目的を持っているからだけでなく、なにより依頼者の目線で、依頼者の立場で、社会的弱者である依頼者と一体になって、闘うからこそ、より高い品位の保持が求められるのです。

1