ある少年事件を受任して「大人になるということはどういうことか」つくづく考えさせられました。少年の強盗傷害事件だったのですが、被害者もまた少年(大学生)でした。しかし、被害者自身後遺症を残るほどの大けがを負っていたにもかかわらず、示談に応じてくれたのです。少なくとも事件までは、相手の立場に立って物を考えることのできなかった加害少年と被害を受けても相手の立場で物を考えることのできる被害少年を目の当たりにして、大人になるということは、相手の立場になって物を考えることのできる能力を身につけることではないかとつくづく思いました。加害少年もこれから相手の立場になって物を考えるようになってくれれば、おろかな犯罪を行うことはないと思いました。ひるがえって考えてみると、大人でも相手の立場に立って考えることができなくなっている人もいます。自分の地位に慢心していると、相手の立場が見えなくなる。弁護士も初心を忘れると、依頼者の立場で考えることができなくなる。自分は大人であると思っていたのに、本当にそうなのだろうかと思いました。つねに依頼者の立場で考えられる弁護士でいたいと思っています。
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