役に立つ法律知識の最近のブログ記事

秘密保護法の強行採決に抗議し、この悪法を廃止させましょう。

平成13年12月6日、与党である自民党、公明党の強行採決により、稀代の悪法である秘密保護法が成立してしまいました。これは、行政庁の長が防衛、外交、スパイ活動防止、テロ防止の分野について関連する事項を秘密と指定できるものです。それが本当に秘密なのかは外部からはチェックできず、それが本当に秘密にするべきものなのかも国民には分かりません。しかも、国会がこれを公開させようと政府に要求しても、秘密会が開かれなければ開示されません。秘密会は出席国会議員の3分の2以上の賛成が必要です。行政庁の長を出している与党が反対すれば秘密会は絶対に不可能です。仮に秘密会が開かれ、国会議員がその内容を知っても、それを外で公表することは処罰の対象になりますので、国民や所属政党にも報告できないことになります。また、秘密は国家機関と特定の軍事防衛関連企業に独占され、地方自治体は秘密を知ることはできません。原発情報が秘密とされると住民の安全を図るべき地方自治体すらその原発情報を知ることができないのです。地方自治体の職員の中で、特定秘密を知ることのできるのは、警察官のみですが、漏らすと重罰を科される特定秘密を保持する警察は公安警察に限られることになり、公安警察の権限が拡大されることは確実です。共謀、独立教唆、扇動が処罰されることから、警察による各種団体への盗聴や内通者(スパイ)の送り込みの合法化が懸念されます。それは外形行為がほとんどない共謀や独立教唆、扇動は立証が困難で、盗聴による録音や内通者による自白がないと立件することは極めて困難だからです。秘密保護法は、こんな危険な法律です。国民が良く理解しない内に与党が強行採決をしたことは許せません。施行まではまだ1年あります。施行を許さず、法律を廃止させましょう。
裁判員制度については、弁護士の中には今でも反対論もあり、依頼者の皆さんの中にも選任されたらどうしようと不安を持っている方がおられます。裁判員制度は、以前に日弁連が求めてきた陪審制度とは異なり、問題点も多いと思います。しかし、司法の中に市民の意見や感覚が反映されていく絶好のチャンスであり、最高裁もこの点を強調しています。裏を返すと、これまで市民感覚からかけ離れた裁判がなされてきたことを示すものです。裁判員に選任されたら積極的に参加してください。「人を裁くという大それたことができるのだろうか」という不安を持っている方が大半です。しかし、そのことはとてもいいことです。これまで有罪判決馴れした官僚裁判官のもとで「被告人には騙されないぞ」という感覚で99パーセント超える有罪判決がなされてきました。これに対し、人を裁くことに慣れていないがゆえにその責任を重く感じる市民の裁判員による裁判は、より慎重な裁判になるはずです。慎重な審理を経たうえで、なお人を裁くことに不安を感じるなら、無罪を評決すればいいのです。それが刑事裁判の鉄則である、99人の犯人を逃しても1人の無辜を処罰してはならないという格言で説明される無罪推定の原則なのです。人を裁くことを職業的義務とする裁判官ではなく、人を裁くことに恐れおののいている市民こそ裁判員にふさわしいのです。

今の時代、弁護士をしているとどうしても離婚事件の相談が多くなります。私がこれまで離婚事件を数多く担当して、率直に分かったことがあります。それはこの世の中で最も難しいことは何かということです。司法試験の合格も難しいかもしれない。月に人間が行くことも難しいかもしれない。首相になることも難しいかもしれない。しかし、この世の中で一番難しいのは自分の妻と自分の母親を仲良くさせることです。これは難しい。最も素晴らしい妻と最も素晴らしい母親でもうまくいかない。おまけに最悪なのは世の中の男性、夫がこのことを知らないことです。「こんなにお前のことを思っているお袋とどうして仲良くできないんだ」と思ってしまいがちです。この思い違いから、本当は別れなくてもいい夫婦が険悪になっていきます。相談にのっていて残念な思いをしたことが幾度もあります。夫の苦労も多いのですが、この世の中で一番難しいのは自分の妻と自分の母親を仲良くさせることだということをぜひ理解して下さい。

弁護士になって最初に最初に依頼者に自信を持って言える知識は「保証人にだけは絶対にならないように」という言葉ではないでしょうか。おそらくすべての弁護士はそうアドバイスすると思います。連帯保証制度くらい悪い制度はない。増加している自殺の原因としても大きなものがあります。親族や身内が犠牲になり、自分の借金ならまだしも他人の借金でなんの利益もないまま一切の財産を失い、一生、自分を責め、身内を責めることになります。保険や物的担保の発達した現代、江戸時代の連帯責任をほうふつとさせるような連帯保証制度はなくなるべきだと思っています。今、民法改正の動きがありますが、日本弁護士連合会は保証制度改善の提言として今年9月15日に、主債務者が消費者である場合における個人保証の禁止及び主債務者が事業者である場合における経営者以外の第三者の保証の無効の提言を行っています。保証人は頼まれても、なってはいけません。個人に保証を依頼する時点ですでに主債務者に返済能力はないと思ってください。
家庭内での紛争は世間体もあり、どうしても当初、家庭内で解決しようとするものですが、身内同士で解決しようとしても、身内同士では感情が入り込むので紛争を激化させることがほとんどです。親戚の有力者を入れて解決しようとしても、今度は親戚も巻き込んだ大掛かりの紛争に発展してしまいます。私のこれまでの経験からすると、家庭内での紛争は早めに弁護士に入ってもらったり、家庭裁判所の調停を申し立てた方が賢明で、紛争を早期に円満に解決することができます。いい例が夫婦間の争いです。夫婦の間でいくら激しい喧嘩をしても、仲直りすることは比較的容易です。しかし、この争いに双方の親が介入してくるともうその時点で、やり直すことは不可能になります。それどこか話し合いの解決も困難になります。紛争がエスカレートする前にできるだけ早く弁護士にご相談ください。